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リスニングtraining4

多聴トレーニングの導入

タイミングとしてはリスニングがディクテーションに入り、また文法的な面でも文法例文のクイックレスポンスや英文解釈トレーニングが終了し、多読に入る頃。つまり、基礎的な英語脳と音声記憶が形成された頃。
リスニングトレーニングに大きな変更を加えるタイミングがやってきます。多聴トレーニングの導入です。

知られているように、リスニングトレーニングのアプローチには、精聴と多聴の二つが存在します。
これまで扱ってきた各種音読やディクテーションが精聴とにかく浴びるようにたくさん聴くのが多聴です。

多聴には用途と本当の意義が存在する

ただ単に大量に聴くだけの流し聴きに意味が無いことは、既に説明してきました。それは、鳥のさえずりをいくら大量に聴いても鳥語がマスターできるわけではないことから明らかです。
英語においても、何の音声記憶も基礎的な英語脳も持たない状態で「多聴」と称して流し聴きすることは、これに近いものがあります。そして残念ながら、多くの方が何も知らず、英語脳も作らないままに大量にリスニングして無駄な時間を過ごしています。

しかし、多聴トレーニングが大きな効果を発揮してくるタイミング、もっと言えば多聴トレーニングのみでしか効率的に効果が発揮できない局面というものは、確かに存在します。それが上記タイミングです。

なぜ精聴だけではダメか?

精聴トレーニングの手法である100回の音読によって、例えばI heard you speak Chinese fluently.という第5文型を刷り込んだとします。
これと全く同じ文か、ChineseがJapaneseに変わっただけ程度の文であれば、それに遭遇したとき、あなたの英語脳はしっかり機能してくれるでしょう。
しかし、例えばShe saw him hit by a truck a month ago.という、全ての語彙が違うものに置き換えられ、若干の文法的差異(「撥ねられた」だからhitは過去分詞です。)のある文に接したとき、果たして英語脳は問題なく機能してくれるでしょうか?

個人差もあるし、この程度の短めの文であれば大丈夫かもしれませんが、必ずしもスムーズには行かないでしょう。
もしこの例のようなものでなく、合体のある文が違う合体の仕方に変わった場合などは、なおさら難しいはずです。

こうしたとき我々が覚えるのは、「ネイティブスピードに英語脳がついていけない(・・;)」という感覚です。

そう。精聴トレーニングによって仕入れた素材は、同じ構造の文をたまたま何度も違う形でトレーニングしてでもいない限り、応用力とスピードに欠けるのです。
だからと言って、このShe saw him~をまた100回音読し、それとはまた別の第5文型も100回音読し……と、延々とそれを繰り返すのでしょうか?
もちろん、文法的なキモは第5文型だけではありませんし、文法的合体が為されればそのパターンは無限に広がっていきます。

それらを全部100回読むなんて、できやしないのです。
そうしたアプローチが極めて効率の悪いものであることは、容易に想像できますね。

そこで多聴

ここで力を発揮するのが、「同じ文型に、いろんな文脈の中で触れる。いろんな文型の合体を体験する。かつスピードに慣らす」という、いわゆる量的トレーニングです。
素材から英語脳を組み立てることから、英語脳を大量に使ってみることに力点を移すのです。
まさに、英語脳の慣らし運転でありチューンアップです。

多聴の実際

精聴トレーニングで最低限の音声記憶が蓄積され、英語脳も形成された状態。この状態で全く英文解釈をしていないネイティブスピードの素材に触れると、わかる部分もありますが、わからない部分もこれまた多くあります。
もちろん、ただBGMとして音を流すようなものを多聴とは言いません。最大限多くの箇所の意味を捉えられるよう、意識を向けてしっかりと聴かなければなりません
ただし、分からなかった部分はそのまま放っておいて構いません。ディクテーションのようにスクリプトの分析など、不要です。そんな暇があったら新たな会話を聞きます。

この時点では、たまたま自分が素材として持っている語彙や表現に触れたとき、あるいはどうにか英語脳が応用的に働いてくれた場合のみ、「わかる」状態です。

しかし、この「わかる」という体験を多量に繰り返すことによって、例えば先ほどの第5文型に関する英語脳は、確実にスピードアップします。
第5文型で作られた様々な文に、色んな文脈の中で何度も触れるからです。
さらに、単語そのものは知っていても会話の中で音として発されるスピードではイメージを想起できなかった語彙も、できるようになってきます。これもスピードアップにつながります。

その結果、無数の第5文型を一つ一つ100回音読しなくても、やがてあらゆる第5文型についていけるようになります。
同じようにして、他の様々な文法事項にも、そしてそれらの様々な合体にも、徐々に対応可能な応用力が形成されていきます。
こうした「英語脳の大量使用」は、精聴では不可能です。

まとめ

言わば、横一線には並んでいるもののバラバラな点と点の状態であったものが、少しずつ点が左右に伸びていって間隙を埋め、直線としてつながっていくのです。

点を作るのがボトムアップの精聴、点を伸ばして直線化するのがトップダウンの多聴です。

先述のタイミングで、精聴の時間を減らし、良質なギュッと詰まった会話が聞ける報道インタビューなどの素材で、多聴することをカリキュラムに組み込みましょう。



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